LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

父と母、それぞれの想い

投稿者:みかん

父は昔人間、難しい人であったが、母はそんな父に口ごたえ一つすることはなかった。そんな母が突然逝き、父は抜け殻のようになった。母にはあれほどわがままを言っていたのに、娘の私には何かと気を遣う父。母にも少しは優しい言葉をかけてあげればよかったのにと、どこか父のことを許せなかった。
母がいなくなって3カ月。10日に一度父の様子を見に行く度、必ずと言っていいほど母の仏壇には、バヤリースオレンジが供えてあった。初めは同じものが供えたままになっているのかと思っていた。ところがある日、バヤリースオレンジが箱で買ってあるのを見つけた。「お父さん、あれどうしたの?」と聞くと、「お母さんはあれが一番好きじゃったから」と父がぽつりと言った。父と母二人だけの生活、私が知らない母を父は知っている。きっと私が知らない父を母は知っていたのだろう。「幸せだったんだよね、お母さん」そう思うと、父へのわだかまりがふっと消えてなくなった。私(てらもと)の母に頼まれ、私のパソコンからエピソードを送ります。

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