LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

向き合えた日

投稿者:カタコンベ

イラスト

やんちゃだった若い頃、親父は福祉施設の仕事をしていた。真面目な親父が嫌いだった。
中学三年の夏、逆らうかのように俺は罪を犯し警察に捕まった...家庭裁判所に行き、判決は軽い物だったが、無言で付いてきてくれたのは親父だった。
それから五年、近く同じ屋根の下に暮らしながら会話という会話はなかったある日、親父が「お前も二十歳なったんやな、酒も飲めるんやろ」と言い出した。俺は「あぁ」としか答えれなかった...鹿児島出身の親父は酒が弱かった。そんな親父が近所の居酒屋へ飲みに行こうと誘ってきた。
言われるがまま2人で店に行き、生ビールと軽い肴を注文した。気付けば無言で親父は弱い酒を3杯以上飲んでいた。久々に面と向かって見る親父の顔...老けていた...何故か悲しかった。
俺は聞けなかった事を聞こうと思い「親父、俺が若い頃に警察の世話になった事、どう思った」と訪ねた。親父はジョッキを置いて「お前は何歳になっても俺の息子や。何とも思ってない」俺は涙が溢れ出した。
心が晴れた気がした。向き合えた日が来た。
俺は今、親父と同じような仕事をしてあの時のアサヒスーパードライを好んで飲んでいる。

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