LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

キャッチボール

投稿者:HotWater

イラスト

「たまには飲みに行かねぇか?」と彼からメールがきた。彼とは大学の野球部で同じ釜の飯を食った仲間で、彼が遊撃手で私が二塁手。例えるなら漫才コンビでいう相方といったところか、あうんの呼吸の間柄である。卒業後も頻繁に酒を飲み交わす仲だ。お互いビール好きで、彼と飲む時は毎度毎度のスーパードライ! いつものお決まりのチョイスである。
1年前、私が激務により著しく体調を崩し退職せざるをえなくなって以来、彼とは飲んでいない。退職後、体をこわしたことだけはメールで知らせた。そして、数ヶ月が経ち、療養の甲斐もあり、すっかり元気になった頃合いを見計らったかのような誘いに少し驚いた。
そして、1年ぶりに彼とのお決まりのコースで飲み交わした。しばらく飲んでも、彼は一切、私の辛かったことを聞かない。
私は自ら洗いざらい全てを話すと、彼は「そうかぁ...、大変だったな、まぁ頑張れや...」と一言。続けて、「就活中なんだろ、ここはオレが払うわ! でもおごりじゃないからな! 貸しだぞ! 貸し!」と、ボールを投げてきた。そんなことは分かってる! 就職したら倍返しだ! と私は投げ返した。
どうやら彼とのキャッチボールはずっと続きそうである。

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