LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

認知症の祖母

投稿者:ひとのり

イラスト

98歳の祖母は認知症で施設に入所しています。母が毎日通って世話をしていることもあり、家族や僕の妻、ひ孫たちのことはしっかり覚えていて、よく話題に上がるそうです。しかし、祖母にとって初孫に当たる僕の存在だけが、どこかに忘れ去ったようで覚えていません。面会に行っても「こちらはどなたでした?」と毎回母に聞く始末。そのよそよそしい態度になんだか淋しくなって、しばらく面会に行きませんでした。
そんなある日、祖母が一時帰宅するとのことで、僕も妻子を連れて実家を訪れました。どうせ覚えていないだろうからと、挨拶もそこそこに父とビールを飲み始めました。祖母は小学生のひ孫たちとの会話を楽しみつつ、久しぶりの母の料理を楽しんでいましたが、突然「ワタシにもビールをおくれん」と言い出したのです。元々酒好きな上、医者からも少しなら良いと言われていたこともあり、僕はスーパードライを祖母のグラスにつぎました。すると、おいしそうに飲みほした祖母が「初孫につがれるビールは最高じゃな」と言って、僕に微笑んだのです。
スーパードライの想い出が、またひとつ増えました。

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