LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

母の帰省

投稿者:よし坊

正月に母を連れて久しぶりに母の実家を訪れた。父が寝たきりになり介護の為、母が家を空けられず、年末に父が病院に入院できた為に8年ぶりの帰省となった。
母を驚かせようと帰省の話はせずに温泉に連れていくと嘘をつき車で家を出た。途中母が寝たので気付かれずに母の実家に無事到着した。「母ちゃん、着いたよ」私が言うと「あれ、ここはどこだい」「何言ってるんだい、母ちゃんの生まれた家じゃないか」と会話が続いた。もう80近くになる母、父の介護でしばらく家から出られなかったせいで、自分の生家もとっさに忘れてしまったようだ。母は驚きと感激でうっすら涙をうかべてた。叔父も母の訪問を喜び、色々もてなしてくれた。変わらず食卓に三ツ矢サイダーとカレーが用意されていた。サイダーを飲んでいると母に連れられて帰省していた昔を思い出した。夏休み、冬休み兄弟のいない私は母との帰省が何より楽しみだった。叔父叔母が一人っ子の私に兄弟のように接してくれる。いつもサイダーを片手に山や川に遊びに行った。無邪気だったあの頃。50過ぎの私が、一番戻ってみたい時だったかもしれない。
家に帰るときの車中で「もう実家には帰れないと思った。本当にありがとね」と母に感謝され、久しぶりに良い正月が送れたことがうれしかった。

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