LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

小さなことでいいから

投稿者:月の鳥

「おかあさん、これ」 一年ぶりに帰省した姉が食卓に四角い紙箱を置いた。
夫の仕事の都合でアメリカへ渡ったのは四年前の春だった。「えっ?」 夕飯の支度で忙しい母が振り向いた。「骨がもろくなってるんでしょ。カルシウムたくさんとらないと。薬局の人が『これをこつこつ飲み続けたらいい』って言ってたよ」
高齢の母は以前から骨粗しょう症と診断されており、転倒して骨折でもすれば大変なことになると医師に言われている。国際電話でそれを知ったらしい姉が持参したのがアサヒの『こつこつカルシウム』だった。
たとえ遠く離れて暮らしていても常に母親を気遣っているらしく、そんな姉の優しさを肌で感じた弟の私は身近にいても何もできないでいる自分をふがいなく思わずにはいられなかった。べつに大仰なことを考えなくても、今のそれぞれの立場で何ができるのかを模索して実践するのが肝要なのかもしれない。それを姉の小さな背中が教えてくれたような気がした。
あれから『こつこつカルシウム』を愛飲するようになった母は遠い異国で暮らす娘の無事をこつこつ祈り続けているに違いない。

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