LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

『覚えていてくれた約束』

投稿者:厚姫

イラスト

通学バスで逢い早38年、結婚して30年。私の側には優しい眼差しで話を聞く寡黙な彼がいた。真面目で誠実・節約家でペットボトルにお茶を入れて会社に向かう。お酒は飲まず、タバコも辞め趣味は好きな音楽を聴くことくらい。お小使いは何に使っているのかな? と不思議だった。
娘が相次いで嫁ぎ、ぽつんと十六茶を飲んでいると、主人が見たことがない通帳をすっと前に。開けてみてびっくり! 結構な金額が貯まっていた。もう一回ブローニュの森で写真撮るんだろ? と彼。気付いたとたん涙が溢れて止まらなかった。
新婚旅行でのパリ、ブローニュの森で撮った写真が全部ダメになっていたこと。デジカメの無い時代帰国後現像して落ち込む私に主人が言ってくれた一言。もう一回 連れて行くから! でも、いざ生活が始まると、子育てや両親の介護に教育費と、経済的にも時間的にも余裕がなく。忘れていたわけではないのだが、あきらめていた。ずっと覚えていて準備していたんだと思うとありがたすぎて使うことができそうない。音の良いスピーカーを買うのに使ってほしいなと思っている。
色づいたブローニュの森に行かなくても、私の心は温かな色どりで満たされている。30年ありがとう晋ちゃん。

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