LETTERS 〜日常にある、ココロあたたまるお話〜

無口な忘れ物

投稿者:頑固おやじに幸あれ

娘のソフトボール大会に父を誘った日のこと。無口で頑固な父は孫が「ソフトボールでレギュラーになれたからこんどの大会見に来てね」と一生懸命電話で話しているのに「まだ予定がわからん」とそっけない返事。それでも何とか都合をつけて母と一緒に見に来てくれた。
観戦席の中段に座りただ黙って孫のプレーを見つめている。お昼休みは家族でそろってお弁当の時間。父はおむすびを黙ったまま食べてから自分が肩から下げて来た小さなクーラバックからスーパードライを持って球場の外に出て行った。父なりに気を使ったのだろう。父がスーパドライを取り出したクーラバックが不自然に大きく開いたまま置いてある。中をのぞくと娘の好きなバヤリースと私と母がよく飲む十六茶、主人が好きなワンダーまで入っている。きっとわざとクーラーボックスを開けて行ったんだよ。母と顔を併せて笑った。
娘はバヤリースを飲みながら「じいじ、黙って怖い顔して黙っているけどいつも見ていてくれたんだね」とニコニコ顔。「きっと照れくさいから出て行ったんだね。」といいながらみんなの好きな飲み物を買いに行って準備をしていた父を想像すると心が熱くなると同時に笑いが込み上げてきた。

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